奥田英朗「ララピポ」

2005/11/28

ララピポ
ララピポ
奥田 英朗

“勝ち組なんて、いない。神はなぜ、この者たちに生を与えたもうたのか?”

――裏帯より

「奥田さんの新刊が出てる!」

東京遠征ライブで真っ白な灰になってしまったため、
ちょっと休息……のつもりで手にした本書。

奥田英朗と言えば、「イン・ザ・プール」の続編にあたる
「空中ブランコ」で第131回直木賞を受賞、伊良部シリーズが
好評な今をときめく作家さんですが、個人的には「最悪」「邪魔」
辺りのくら~いお話が好みです。本書はそれに類する短編集。
ヒエラルキーの最下層を書かせたらこの人の右に出る者なし。

最新爆笑小説、誕生!
いや~~~ん、お下劣。
※紳士淑女のみなさまにはお薦めできません。(作者)

――表帯より

確かに紳士淑女にはお薦めできません。15禁にしたいくらいですw

・対人恐怖症のフリーライター
・AV・風俗専門のスカウトマン
・専業主婦にして一応AV女優
・NO!と言えないカラオケBOX店員
・文芸コンプレックスの官能小説家
・デブ専裏DVD女優のテープリライター

この6人が織り成す負け犬人生。
これを読んで、登場人物に好感を抱く人はいないでしょう。

でも、彼らだってこんな風になりたくてなったわけじゃない。
環境が悪いとか社会が悪いとか、そんなのはただの言い訳で、
原因のほとんどは自分の中にあるんだけど、それを理解して
いたりいなかったり。でも、

――ありませんか?

「もういいや」って思うこと。

「中途半端な諦観」こそ、現代病の根源だと私は思う。
こうなるかならないかは本当に紙一重で、ちっぽけなプライドに
しがみ付いて生きている人間ほど、薄っぺらな紙一枚隔てた
「向こう側」の人間に嫌悪感を感じてしまう。
本書で爆笑できるのは、本書を「フィクション」と割り切れる人。

文章力は言うに及ばず、6人をうまくリンクさせてオムニバスとした
構成力もさすがで、大衆小説としての評価は◎なんですが、
奥田小説を初めて読む人にはお薦めできません。初心者には
先に記した「イン・ザ・プール」もしくは「東京物語」をお薦めします。